【効果検証】ヨガは糖尿病に効果があるのか?
本記事では、糖尿病に対するヨガの効果について言及しています。
こんにちは、ヒロです。
今日はヨガが糖尿病に効果があるかということについて整理してみたいと思います。
結論としては、
効果は期待して良さそうです。
では、以下に詳細を解説していきたいと思います。
目次
糖尿病とは
糖尿病についてまずは簡単に整理しておきましょう。
私たちが口にする多くの食べ物には糖分が含まれています。通常は、この糖分が分解されて細胞に取り込まれて代謝され、動くためのエネルギーとして利用されます。
この細胞に取り込む役割を果たしているのがインスリンと呼ばれる膵臓から出る物質です。
糖尿病ではこのインスリンが出なかったり、糖に対して効きが悪くなる状態となり血液の中に糖分が増えてしまうのです。
血液の中に糖分が増えることで、血管にダメージを与えるため様々な合併症を引き起こします。
また糖尿病は、一型糖尿病と二型糖尿病に分かれます。
今日の記事内では、生活習慣等が影響する2型糖尿病に焦点を絞ります。
2型糖尿病は、食べ過ぎや運動不足、肥満など生活習慣が影響するケースが多いと言われており、インスリンが効きにくい状態となります。
SACKSらのレビュー内において、糖尿病の85%~95%が2型糖尿病と言われていますし、アメリカの疾病対策予防センターのページ内でも90〜95%と言われていますので、多くが2型糖尿病となります。1~2)
ちなみに日本での推移を下に示します。
日本における糖尿病患者数の状況
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-08.html)
上記資料から見ると、糖尿病の可能性を否定できないものはピークからは減少傾向ではあるものの、糖尿病を強く疑う患者数は年々増えています。特に年代が上がるにつれて有病者の方は増える傾向にあるようです。
糖尿病の何が怖いのか
糖尿病の怖いポイントについて整理しておきます。
初期症状としては、頻尿や喉のかわき、体のだるさなど誰にでも起こりうる症状であり、はっきりと気づきにくいものです。そのため、知らず知らずのうちに進むのが怖いポイントです。
そして、これを放置することで起こりうる合併症が、
・網膜症(目が見えにくくなるか失明)
・腎臓の障害(透析になるケースも)
・神経障害(手足の末端の感覚がなくなる)
・傷が治りにくくなり、場合によっては細胞が壊死し切断するケースもある
などといった重篤なものとなります。
また、血管のダメージが生じる病気であるため、脳卒中や心筋梗塞などのリスクも上がると言われている怖い病気となります。
治療の基本は運動、栄養の管理であり、薬も飲むという感じになります。ひどくなるとインスリン注射をするようになります。
どんな人が糖尿病になりやすい?
ではどんな人がなりやすいのでしょうか。
・太りすぎの方
・体を動かす機会が少ない人
・中年〜高齢の人
・両親、兄弟、姉妹に2型糖尿病患者がいる
こんな方々が要注意な人たちと言われています3)。
年齢や遺伝的な要因はどうしようもないところはありますが、運動や体重管理は心がけにより対策できますから注意したいところです。
糖尿病に対するヨガの効果
それでは、糖尿病に対してヨガは効果があるのでしょうか?
PAI, Lee-Wenらは、8週間以上の介入をしている18件の論文を元にしたメタアナリシスにより、糖尿病の指標であるHbA1cを減らす効果としては、ヨガがウォーキングや太極拳よりも効果的であると結論づけており、ヨガに関しては1週間あたりの回数が多いほど効果があるかもしれないとしています4)。
CUI, Jieらも12件の論文を元にしたメタアナリシスにより、空腹時血糖やHbA1cなどの数値が改善する可能性を示唆しています5)。
その他にも類似した結果を示す報告がいくつかありましたが、その多くが何らかの効果を示す可能性を示唆しています(いずれも研究の弱点はあります)。
ウォーキングより効果があるかもというのは興味深いですね。
ということで、ヨガは糖尿病に対して効果はありそうという感じです。
なぜヨガが効くのか?
なぜヨガが糖尿病を改善させる可能性を秘めているのでしょうか?
大きな理由としては、やはりヨガが適度な強度の運動であることがポイントであると考えます。
糖質を消費するためには、運動をして筋肉を使うことが大事であることが今は常識となっています。
ヨガは一回のクラスが60分〜90分と運動時間が長いこと、アーサナにより全身の筋肉を持続的に使うことなど、運動の要素が多く含まれます。
あとは、以前のブログでもご紹介いたしましたが、ヨガにはダイエット効果の可能性もあり、糖尿病の危険因子である太り過ぎを解消することが影響するのかもしれません(インスリンの効きが良くなるという観点で)。
ただし、先ほどのものや他の運動に関する報告から考えられる注意点としては、
・週に複数回する
・長期間継続する(数回しただけでは効果でないかも)
・リラックス系のものよりしっかりパワーを使う系のもの
・動いた分以上に食べないこと
といったところは押さえておきましょう。
まとめ
今日はヨガが糖尿病に効果を示すのかという観点で情報を整理しました。
結論としては、効果を期待しても良いと考えます。
糖尿病は、色々な病気を発症する可能性のある非常に厄介な病気です。また、治療費や薬代などの医療費も結構かかるらしいです。
なってから注意というよりは、糖尿病になりやすい特徴に当てはまる方は、今から注意して生活習慣を見直す必要があります。
そんな中で運動の選択肢としてヨガもぜひ検討してみてください。
今までのブログでヨガにまつわる効果もご紹介しておりますので、そちらもご参考になれば幸いです。
出典
1)SACKS, David B., et al. Guidelines and recommendations for laboratory analysis in the diagnosis and management of diabetes mellitus. Clinical chemistry, 2011, 57.6: e1-e47.
2)https://www.cdc.gov/diabetes/basics/quick-facts.html
3)https://www.cdc.gov/diabetes/basics/risk-factors.html
4)PAI, Lee-Wen, et al. The effectiveness of regular leisure-time physical activities on long-term glycemic control in people with type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetes research and clinical practice, 2016, 113: 77-85.
5)CUI, Jie, et al. Effects of yoga in adults with type 2 diabetes mellitus: A meta‐analysis. Journal of diabetes investigation, 2017, 8.2: 201-209.