【ランナー向け】水分不足にご用心
本記事ではランナーの水分摂取について解説しています。
こんにちは、ヒロです。
暑くなってきました。特に今の季節はジメジメと湿度の高い季節で不快な暑さですね。
さてそんな季節に大切な水分摂取のお話を今日はまとめてみようと思います。
ランナーの方にとってはパフォーマンスを左右するとても大切なものです。
私自身、過去何度も痛い目を見てきましたので、その反省も踏まえつつ述べていきます。
目次
体における水分の役割
そもそも体の中で水分はどんな役割を持つのでしょうか。
水分は体の60%を占めており、糖質やたんぱく質、脂質などより多いのです。
血液の基でもありますし、筋肉の80%においては水分です。
この水分の重要な役割としては、体温調整です。
運動すると汗をかきますよね。
あの汗が体温調整の役割を果たしています。
汗の成分はもちろん水分が多く含まれます。この水分が体表面に出て、蒸発した時に気化熱が奪われて熱が放散されて体温が下がるという仕組みです。
この汗が出ないと、体温が上がって熱中症のような症状を起こす可能性が上がります。
ちなみに補足ですが、今の時期のように湿度が高い日は、汗が蒸発しにくいため体温がうまく下がらないため注意が必要です。
必要な水分量
基本的には2,000〜2,500mlは必要と言われることが多いようです。
水分は、汗だけでなく、尿や便などにも含まれますので出る分は取る必要があります。
ただし!
上記はあくまでも運動をせず普通に生活した時の数字です。
ランニングなどのスポーツで大量に汗をかく場合は、それ以上の水分摂取が必要になります。
下は運動をしていないある日のGarminが提案してきた必要水分量です。
これは時計を買ったばかりくらいの時期に提案してきた水分量ですので、体重等から運動していない日の水分量を提案されたようです。
ちょっと見えにくいですが、ゴールの値は2,800mlとなっています(0mlと大きく表示されている下に小さく表示されています)。
そして、下が運動をした日。
4,835mlが必要量として算出されたようです。
あくまでも例ではありますが、これだけの水分摂取量が必要となってきます。
全米アスレチックトレーナー協会(NATA)の推奨では、
《水分摂取の推奨》
・アスリートは運動の2~3時間前に約500~600mLの水またはスポーツドリンクを摂取。
・運動の10~20分前には200~300mLの水またはスポーツドリンクを摂取する
・10~20分ごとに200~300mLが理想
・運動後の水分補給は、練習や競技中に失われた水分を補うことを目的とする。理想的には2時間以内に行うのが理想
出典:1)CASA, Douglas J., et al. National Athletic Trainers’ Association position statement: fluid replacement for athletes. Journal of athletic training, 2000, 35.2: 212.
他にも多くありますが、こういった点が推奨されています。
自分の水分必要量の考え方
では運動時に自分にどれだけの水分が必要か、どうやって判断すれば良いのか。
ポイントは2つ。
体重と尿(オシッコ)です。
まず一つ目が体重です。
運動前後での体重を計測してみてください。
運動してダイエットと言われますが、即時効果については、水分による影響がほとんどですので、運動前の体重から運動後の体重を引けば、どれだけの水分が体から出ていったかを概算で出すことができます。
例えば1kg水分が減っていたとすれば、体から水分が1,000ml出たということになります。
もう一つは尿(オシッコ)。
私も何度も経験があるのですが、脱水気味になると、尿の量が減り、出るとしてもものすごく濃いめの色に変わります。
本来体の水分が十分に足りているときは、透明に近いような薄黄色ですが、脱水が進むにつれ濃いオレンジから茶色のような色に変化してきます。
下は厚生労働省のホームページからの資料ですが、こんな感じに変化してきます。
出典:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2015/sakuhin5/n006.html
ですので、走り終わった時や、トレイルやウルトラマラソンなどのロングレース中の尿の色を確認して水分補給の目安にすることができます。
この2点を参考にして自分の運動時の必要水分量を確認してみてください。
レース時の水分摂取プランの大きな参考になります!
水分が不足するとどうなるか
さて、今日の本題である水分が不足するとどうなるのでしょうか?
CASA, Douglas J.らの推奨の中には、体重(水分)が1%減少するごとに心拍数は1分間に3~5回増加するということや、2~3%の減少で、有酸素パワーの減少、疲労感やパフォーマンスの低下を引き起こすと書いてあります1)。
その他にも、痙攣、無気力、ひどくなってくると、めまい、頭痛、吐き気、呼吸困難感など症状は多岐に渡ります。
※この辺りは色々なサイトでまとめられていますので、「脱水,パフォーマンス」などの検索ワードでググってみてください。
ですので、適切に水分を補給して体の水分量を維持することがとても大事になります。
何を飲めば良いのか?
何を飲むかも結構問題になりますよね。
最近私の中の結論ですが、結局麦茶メインでスポーツドリンクを間に挟むのがいいんじゃないかなと思ってます。
割合としては7:3〜6:4でお茶とスポーツドリンクをレース中に摂取する感覚です。
これにもちゃんと理由があります。
水分は体の中に入れたからといってすぐに吸収されるわけではありません。
消化器官を通って、小腸で吸収されます。
ここが一つのポイントで、消化管の途中には胃があります。
糖質の含有量が高い(含有量8%以上が一つの目安)飲み物だと、胃を通過する速度が薄いものに比べて遅くなるという報告2)もあるため効率的な水分摂取になりません。
ですので、脱水気味の時に糖質高めのものでは遅いのです。
もし糖質と水分の吸収を同時にうまく行うのであれば、喉の乾く前に摂取した方が効率的かと思われます。
ですので、麦茶のような糖質のないもので、胃をさっさと通過させて水分摂取、スポーツドリンクで糖質と水分をゆっくり吸収というのが一つの作戦となります。
1週間くらいのトータルで考えましょう
ここまで読んでくださった方の中には、
「当日の水分注意だな」
「前日もしっかり摂取しておこう」
と感じた方もおられるでしょうか。
ここで、さらなるワンポイントが週間での水分量という視点です。
水分は細胞内や血液に蓄えられますが、運動しない日に水分が不十分であると、体内の水分が少しずつ目減りして、前日にたくさん補給するだけでは不足する可能性も否定はできません。
ですので、運動しない時は2,000~2,500ml、運動の日は自分の体重の減少量を勘案して水分を蓄えておくことがポイントと考えます。
一度1週間の水分と体重変動について記録してみると、こういった点に対する発見があるかもしれませんので、オススメです。
自分の失敗談
こんな偉そうにウンチクを述べていますが、それもこれも過去に自分自身が多く失敗してきているから調べたのです。
普段の練習においても、平日の水分摂取量が少なかったこと、ビールを飲んで体から水分が出ていたことが災いして、ロング走で何か体がだるくパフォーマンスを発揮しきれない。
マラソン大会では、「糖質と水分を同時に補給だ」と意気込み、糖質が高めのドリンクを使用した結果、脱水のような症状なり、後半足が攣ってしまいました。
最近の六甲キャノンボールでは、レインウェアの影響でかなりムレムレになり体温下がらず大量の発汗で試走の時よりだるくなる。
失敗の数を挙げればキリがありませんw
なので、水分摂取はパフォーマンスにかなり影響することを身を持って体感しています。
まとめ
今日はランナーの水分補給についてまとめました。
ポイントとしては、
Point!
・運動しなくても2,000〜2,500ml必要
・運動したときは体重の減少を把握して補給
・運動中はちょこちょこ飲む
・尿の色に注意
・甘すぎるものでは吸収のスピードが遅い
・普段から水分を蓄えておく
といったところです。
自分自身も体験をもとに、少しずつ水分摂取での失敗が減ってきているように感じています。
ただし、自分にとっての理想系をまだまだ模索中ですし、普段の水分量が少ない傾向ですので、改善の余地と伸び代はありそうですw
ロングトレイルの完走や、フルマラソンのタイムを狙うには絶対考えた方が良い重要なポイントです。
皆様も自分に適した水分補給をうまく見つけてくださいね(^^)
出典
1)CASA, Douglas J., et al. National Athletic Trainers’ Association position statement: fluid replacement for athletes. Journal of athletic training, 2000, 35.2: 212.
2)MITCHELL, J. B., et al. Gastric emptying: influence of prolonged exercise and carbohydrate concentration. Medicine and science in sports and exercise, 1989, 21.3: 269-274.