心拍
ランニング

夏のランニングは脈拍で管理しましょう

本記事では、夏場のランニングの脈拍管理についてご紹介しています。

こんにちは、ヒロです。

 

毎日暑いですね〜。こんな時期のランニングが辛い!

でも秋〜冬のマラソンシーズンに向けて大事な時期でもあります。

 

そんな夏のランニング、皆様はどうやって運動強度を決めていますか?

 

練習内容を考える上での一つ、「脈拍」について今日はご紹介いたします。

 

今日の話のポイントとしましては、

 

自分の目的とする練習の脈拍数を意識しましょう!

 

といった内容です。それでは具体的にご説明していきます。

 

脈拍とは?

 

そもそも脈拍は何か確認しておきましょう。

 

脈拍≒心拍数とお考えください。

 

脈拍は、心臓が血液を送るために収縮することに合わせて触れることができる血管の動きです。

 

手首や首のわかりやすい血管で触ることができます。(皮膚に血管が近い場所であれば他でも確認できます)

 

≒としているのは、不整脈がないという前提ですので、不整脈がある方は心拍数からずれる可能性があります。

 

じっとしている時の心拍数を安静時心拍数と言います。これが運動をすることによって増えます。

 

脈拍が上がる条件

 

運動すると基本的には脈拍は増えます。

 

理由としては、運動することによって筋肉はエネルギー源としての酸素や栄養素を必要とします。

これらは血液の流れによって運ばれるものですので、その影響で脈拍が増えます。

 

もう少し具体的に酸素に絞って説明しますと、体は肺付近の血管を通して絶えずきれいな酸素と使い終わった酸素を交換しています。心臓は、運動負荷に耐えることができるだけのきれいな酸素を筋肉へどんどん送るために、血流をジャンジャン回さなければなりません。そのため、脈拍が上がります。

 

運動以外の条件で言えば、暑さや脱水、ストレス、睡眠不足などでも上がる可能性があります。

 

ですので、夏場は脈拍が上がりやすい条件が揃うことになります。

 

脈拍を考える前にLT値(≒AT値)をおさらい

 

ランニングにおける脈拍上昇を考える上で、キーワードとなるLT値、運動強度を知っておく必要がありますので、先に説明いたします。

 

LT値はLactate Thresholdの略で乳酸性作動域値のことです。

※AT値(Anaerobic Threshold:無酸素性代謝閾値または嫌気性代謝閾値)と表現されることもありますが、実際、厳密に言えば無酸素という状態はあり得ないことと、運動強度を考えるポイントはほぼ一緒なので、今日はLT値で進めていきます。

 

乳酸って聞いたことあるけど何となく意味がわかっていないという方へ、簡単な説明を挟みます。

 

乳酸は運動をすることで作られる物質です。

ちなみに乳酸といえば疲労物質というイメージが多いですが、実際には少し異なります。

厳密には、乳酸は糖をエネルギーとして分解する際に生じるもので、エネルギーに重要な関わりを持つミトコンドリアにおいて使いやすいエネルギー源として利用されているようです。運動すると糖の利用が増えるため、乳酸も増えますが、実はエネルギー源でもあり疲労物質というわけではないというところがややこしいのです。詳細はとても長くなるので、この辺についての説明はまた後日にさせていただきます。

 

脱線しかけたので、話を本題に戻しましょう

 

LT値を境に体に必要な酸素量やエネルギーの使われ方、乳酸など人体の中での出来事が大きく変わります。

 

例えば、エネルギーの使われ方は脂質の割合が減り、糖質が利用される割合が増えますし、必要な酸素の量がグッと上がるため呼吸が荒くなります。糖質の利用が増えるため乳酸も増加します。

 

筋肉で言えば、LT値以下では遅筋繊維と呼ばれる持久力に関わる筋肉が動員され、LT値以上では速筋繊維と呼ばれる持久系が苦手な筋肉が運動に動員されやすくなります。

 

こんな変化のため、運動の持続時間はLT値より低ければ長く続けられる有酸素系の運動で、LT値より高ければ持続できる時間が短くなる無酸素系の運動となります

 

 

このLT値の境目の指標の一つが運動強度となります。

 

運動強度を考えるには、VO2max(最大酸素摂取量)か心拍数を用います。

 

 

運動強度からLT値を予測する

 

VO2maxは運動中に取り込むことができる最大の酸素量のことです。このVO2maxは運動強度を考えるための指標であり、この最大値に対して何%のところで運動しているかということが強度の目安となります。

 

例えば70%VO2maxであれば、運動強度70%ということです。

 

ただ、VO2maxを正確に測定するには特別な機器が必要となるためいつでも計測できるわけではありません(計算では出せるようですが)

 

ですので、私のような市民ランナーが用いるのは心拍数(脈拍)です。

 

今はGarminの光学心拍計が示してくれるゾーンを利用していますが、以前は光学心拍計がなかったため、自分で数値を計算して、自分で脈を計測しながら把握していました。

 

この計算方法はカルボーネン法と呼ばれるもので、安静時心拍数と年齢、自分のしたい運動強度のパーセンテージから計算します。

 

カルボーネン法

目標心拍数=(220-年齢-安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数

 

なお、このリンクのサイトが自動で計算してくれるので楽チンです。

 

LT値は運動強度の70%程度のところと言われています。

 

例えば、私は36歳ですので、

(220-36-54)×0.7+54=145回/分

 

これが私のLT値となります。

 

自分がしたい練習は何の練習か考える

 

ここまでLT値とはどういったものか、そして運動強度からLT値を推測することについて説明いたしました。

ここからがポイントです。

 

フルマラソンやウルトラマラソン、トレイルランニングは長時間の運動時間となるため、出来るだけLT値以下の負荷での運動強度が望ましいスポーツです。

 

ですので、ポイントはLT値を上げるか、LT値内でのスピードを上げるかを考えることです。

 

まず、LT値を上げるためには、LT値以上の高強度の練習をすることで引き上げることができます。

インターバルやレペティショントレーニングがその一例となります。

効果は大きいですが、高強度の練習であるため筋肉へのダメージが大きくケガのリスクは高まります。

 

夏場はあまり長時間の練習が暑くてできない日もあると思います。そんな日は、30分くらいサクッと高強度の練習で済ませるのもアリです(前後でアップとダウンの時間は取りましょう)。

 

もう1パターンの、LT値内でのスピードを上げることには、低負荷・高頻度の練習形式をとります。

自分にとってケガしない、あまり疲れない程度でできるペースでの練習を高頻度に行うことで、最初はかなりゆっくりとしたペースでも自然とスピードが上がっていきます(自分でも試してみました)。

ということは結果的にLT値が上昇に繋がっているとも考えられます。

 

具体的な運動強度は、先ほどのカルボーネン法での計算で70%かもしくはそれ以下の運動強度の心拍数を目安とします。

 

先ほどの高強度の練習と逆で、ケガのリスクは少ないですが、成果を感じるのに少し時間がかかる方法と感じています。

 

 

以上のことから、ターゲットとする大会の距離やタイムから目標を作る上で、自分のLT値を把握し、自分がどんな練習をするのか考えるために脈拍が大切になるのです。

 

夏場は脈拍が上がりやすいため、この点を意識していないと、同じスピードで走っていると思っていても、強度は知らず知らずのうちに上がり過ぎていることが起こりえます。

 

ですので、LT値以内での運動を意識するのであれば、夏場はランニングペースで練習を設定するよりも脈拍を基に強度を考える必要があると考えます。

 

脈の測り方

 

最後に脈の測り方を確認しておきましょう。

 

下のように首元に優しく指を添えて、ドクドクいうところを探します。

 

頸動脈の触診
首での脈拍の測定

もしくは下のように手首の親指側でドクドクする場所を探します。

 

橈骨動脈の触診
手首での脈拍の測定

 

10秒間の回数を数えて、その値に6をかけると脈拍となります。

例えば、10秒間に10回ドクドクしたとしたら、脈拍は

10×6=60回/分

 

となります。

 

走りながら計測するのは結構難しいので、やはり光学心拍計のついた時計の方が把握はしやすいです。

 

まとめ

 

今日は夏のランニングにおいては脈拍で強度を管理しましょうという内容をご紹介いたしました。

ポイントとしては、

 

・LT値を把握するために脈拍が必要

 

・LT値の目安となる脈拍を知ることで運動強度を管理する

 

・自分の練習の目的を考え、それに見合った脈拍を管理する

 

 

といった点です。

 

まだまだ暑い夏が続きますので、皆様体調管理に気をつけてランニングレベルをアップさせていきましょう!