【体験談アリ】ベアフットランニングをうまく活用しよう
本記事では、自分の体験を元にベアフットランニングについて効果や注意点について述べています。
こんにちはヒロです。
今日はベアフットランニングについて、自分の体験を中心にしてその良し悪しについて考えを述べたいと思います。
ポイントとしては、
point
・良いところも悪いところもある!!
・特徴を理解した上でうまくトレーニングに用いる。
良し悪しの両方の特徴を理解した上で、うまく取り入れられるようその特徴を整理したいと思います。
ちなみに私自身のレベルとしては、フルマラソンは公式タイム3時間40分(多分今はもっと速い)、100kmのウルトラマラソンやミドルディスタンスのトレイルレースを完走するレベルです。
目次
ベアフットランニングとは?
はじめに、ベアフットランニングについて定義しておきましょう
《この記事内での定義》
・シューズの機能に頼らず、自分の足の機能を最大限に使うランニング。
・ドロップ差はゼロドロップ。
・完全なベアフットランは裸足ランニング
この定義のことについて説明いたします。
最近のシューズはどんどん進化しています。
まず、ドロップについて簡単に説明しておきましょう。
近年のシューズは、ドロップ差と言われる踵とつま先の高さの違いをあえて作ることで滑らかな重心移動を促す構造になっています。
また、最近のシューズは、カーボンプレートに代表されるようにシューズによる反発力を利用して、自分の足の機能以上の力を得てして走るものが増えてきています。
そういったシューズの機能をほぼ無くした状態で、自分の足本来の力で走るものがベアフットランと考えていただけるとよいです。
裸足で走る人たちは完璧なベアフットランナーですね。
ベアフットに関する履物としては、ルナサンダルやビブラムファイブフィンガーなどのベアフットサンダルが有名です。
ベアフットとはいきませんが、ALTRAなどゼロドロップのシューズは近しいものです(クッションが備わっているため、ベアフットとは別物ではありますが…。)。
ちなみに、私がその存在を知るきっかけになったのは、ランナーの人にとっては有名なものであると思われる本『BORN TO RUN』です。
話の内容としては、ウルトラトレイルランナーとして有名である、『走る部族タラウマラ族』に関する内容となっています。(詳細はネタバレになってしまうので、割愛。一度読むことをオススメします!!)
これ読んで感銘を受けて、ベアフットランニングをスタートしました。
私のベアフットランニング歴
一番最初に買ったのは、初めてフルマラソンに挑戦すると決めた2015年に、BORN TO RUNに影響されて購入したルナサンダルで、ここから私のベアフットランニングがスタートしました。
横から見ると薄いのがよくわかります。
ルナサンダルを使った練習は1週間から2週間に1回で、基本的には普段のウォーキングで使用することが多かったです。
ちなみにこの年の京都マラソンは無事完走しております。
その後、ルナサンダルの紐が伸びてきたのと、冬に足が冷たいし、つま先を保護したかったのもあり、シューズタイプを探し始めました。
そこで見つけたのが、メレルのトレイルグローブ。
このシューズは、アッパーがあるだけでゼロドロップ。アーチサポート・クッションは極々最小限となっている構造です。
2018年以降現在に至るまで、練習時はほぼこれを使用するようになりました。
ただ、レースでは、HOKA ONEONEなどドロップ差のあるベアフットではないシューズを着用していました。
そして、今年の六甲縦走キャノンボールのシューズを探していたときに、アルトラローンピーク5を勧められて、この大会からベアフットではありませんが、レースもゼロドロップシューズとなりました。
ちなみにこの間大きなケガなく練習に取り組んでおります。
ベアフットランのメリット
それではまずメリットをご紹介いたします。大きく分けて二つあります。
①重心移動がうまくなる。
ベアフットではないシューズは、そのドロップ差を利用して重心移動を促すため、極端な話、重心移動が下手くそでも走れちゃいます。というか、シューズに走らされます。結果、アキレス腱炎を起こしたりなどのケガにつながるケースもあると考えます。
その点、ゼロドロップのベアフットランニングでは、自分の体をうまく扱わないとスムーズな重心移動ができないため、自然と適切な重心移動が身につきやすいと考えます。
②着地のうまさが身につきやすい。
ベアフットランニングの中でも特に、ルナサンダルなどのミッドソールのクッションが無いものについての話になります。
普通のシューズと異なり、衝撃の強い着地をしてしまうと、足にモロに刺激が入り痛みを感じやすいです。特にかかとから着地をすると顕著に現れます。
ですので、人間の痛みを回避する本能から、適度なストライドで、足全体の柔らかい着地が身につきやすいと考えます。
さらに、通常、着地の瞬間には踵の左右へのブレが生じるためシューズがカバーしてくれるのですが、ベアフットランニングではその恩恵が無いもしくは少ない状態です。
よって、筋肉の反応速度や神経系への働きかけになることも考えられ、安定した着地の感じを体に叩き込むことになります。
③上記二つを繰り返すことで、長期的にはケガのリスクを減らす
先ほどの二つのメリットを受けながら練習を継続することで、ケガのリスクを抑えたフォームが身につく可能性が高くなります。
実際、私自身も今まで大きなケガなく練習を続けられています。
ベアフットランニングのデメリット
この辺は自分の体験を元に述べさせていただきます。
①フルマラソンまでくらいのスピードを競うレースの場合、タイムは少し劣る可能性
ドロップ差による重心移動は、慣れればどうにでもなると思います。しかし、靴の重量が同じくらいであれば、反発力を強くしたカーボンプレート搭載のシューズには勝てないと考えます。
※ルナサンダル等ベアフットで速い人は、シンデレラフィットの靴に出会うことができれば、さらに速くなると思います。
②筋肉への負担が上がること
初心者の人にとっては、全身をうまく使った重心移動を意識しなければ、どうしても足で地面を強く蹴って進もうとする傾向になりやすいため、普通のシューズに比べて足の負担は強くなると考えます。
ドロップ差のあるシューズから履き替えた場合でも、同じスピードを出そうとして一生懸命になるうちに地面を強く蹴ろうとしてしまい、ふくらはぎへの負担が強くなることが考えられます。
実際、海外の研究ではベアフットで走ると、ふくらはぎの筋肉やスネ周りの筋肉の働きが、シューズに比べて強くなることが報告されています1~3)。
③筋肉がらみで、足底腱膜炎のリスク
アーチサポートを極力減らしたものや、全くないものだと、着地の際に内側のアーチに対する負担が大きくなります。
足底腱膜炎はこの部分への過負荷により生じることが原因の一つですので、リスクを上げることになると考えます。
④ルナサンダルなどクッションのない物を使用した場合の血管系へのダメージ
着地の時の衝撃で足裏を中心とした毛細血管はダメージを受け、血液が漏出してしまうケースがあります。
特に女性ランナーで貧血傾向の方は注意が必要です。
⑤骨へのダメージが大きい
これも強い着地をしてしまうとモロに衝撃が骨まで到達しますので、ひどい場合は疲労骨折につながります。
長年使用しているベアフットランの感想
まず初めてルナサンダルを履いて練習した体感としては、
痛い…
先ほど説明したように、クッションがないので、着地を丁寧にしないと足裏に直に衝撃がきます。特にかかとからの着地は最悪です。
また、着地の時にきれいに足全体で地面を捉えないからか、足がズレて水膨れの箇所が何箇所かできる。
こんなことが1年くらい続いたように思います(練習不足の影響もありますがww)。
慣れてくるとそうでもありません。
推進力については、ルナ・メレルともに、普通のシューズにあるようなソールの反発がないため推進力は自分で作らなければなりません。最初はふくらはぎや足首周りなどかなり筋肉痛になりました。
今でもスピードを上げて走ったり起伏の大きいコースだと、シューズに比べ15kmくらいの練習でも足首周りの筋肉に疲労感が出ます。
こんなことを繰り返していると、週2〜3回メレルのトレイルグローブを使用して練習してもさほど苦ではなくなりました。
そうそう、特に良かったなと思うのはトレイルランの場面です。
ドロップ差のあるシューズだと、下りはどうしても勢いがつくため扱いにくいと思っていましたが、ゼロドロップであるアルトラに変えて、かなり足捌きがしやすくなりました。
また、トレイルのような不整地での足首の安定感など、いい感じに成長してきている実感があります(捻挫経験なし)。
ベアフットの活用法
ここまでの説明だとマイナスな印象を与えるかもしれません。実際、研究ではその効果について賛否両論あるようです。
ただ、個人的な意見としては、うまく活用するとレベルアップにつながる良いものだと感じています。私の体験からではありますが、活用法についてご提案させていただきます。
《使用の場面》
①ウォーキングに使う
②スロージョグに使う
③走る際には距離短め(最初のうちは1ヶ月のうちに2〜3回程度)
④ロング走や長時間走には使わない。
こんな感じです。
つまりは
主な目的
・フォームを調整する(着地や重心移動)
・足回りの筋トレ
が大きな目的として活用すべきと考えます。
注意すべき点としては、
ここに注意・筋疲労がたまった状態での使用を避ける
・ランニング中痛みが出てきたら中断する
・スピードを出す目的では使用しない
以上のようなことを注意すれば、初心者〜ベテランまで自分のランに対して発見の多いのがベアフットランニングです。靴の力に助けられてて気づかない自分の弱点を見つけられるかもしれません。
取り入れてみると面白いと思いますよ(^^)
参考文献
1)ALTMAN, Allison R.; DAVIS, Irene S. Barefoot running: biomechanics and implications for running injuries. Current sports medicine reports, 2012, 11.5: 244-250.
2)MURPHY, Kelly; CURRY, Emily J.; MATZKIN, Elizabeth G. Barefoot running: does it prevent injuries?. Sports Medicine, 2013, 43.11: 1131-1138.
3)BEIERLE, Ryan, et al. The Effect of Barefoot Running on EMG Activity in the Gastrocnemius and Tibialis Anterior in Active College-Aged Females. International journal of exercise science, 2019, 12.1: 1110.