ルナサンダルオソフラコ
ランニング

【ベアフットランニング】ルナサンダル活用法をご紹介!

本記事では、ルナサンダルの特徴と初心者向けの使用方法についてご紹介しています。

 

こんにちは、ヒロです。

 

今日はルナサンダルのお話です。

 

トレイルランナーの方を中心に有名だと思われるルナサンダル。

 

初めてサンダルで走っている人を見た時、それはそれは衝撃でした。

 

『ケガしないのかな?イカれてるわ!』

 

その時の正直な感想です(笑)

 

そんな私自身も、2015年からちょこちょこと「ベナード」というタイプを使って走っていました。

 

ただ、鼻緒が痛かったりヒールのストラップがすぐズレてしまったりとうまくフィットしなかったため、この2〜3年はシューズでのランニングばかりでした。

 

ですが、最近になって、改めてベアフットランニングをしようかなとふと思い立ち、Mono Winged Editionを購入しました。

 

そこで、今日はMono Winged Editionの簡単なレビューとルナサンダルで走ることのメリットやデメリットについて整理してみたいと思います!!

 

ちなみに私は市民ランナーであり、普段は理学療法士という身体のことを専門とする仕事をしています。体験と身体の知識と合わせながらご紹介させていただきます。

 

ルナサンダルとは?

 

まずはルナサンダルのことを整理しておきましょう。

 

これを語る上で外せないのは『BORN TO RUN』でしょう!

読んだときは心が震え、ベアフットランニングをしてみようと決意させてもらえた本です!

詳細は本を読んでのお楽しみです♪

Born to run走るために生まれた ウルトラランナーvs人類最強の“走る民族” [ クリストファー・マクドゥーガル ]

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さてルナサンダルのルーツですが、自身の腰痛の体験から痛みなく走ることを追求しアメリカ初のベアフットプロランナーであったテッド氏(ベアフットテッド)が、タラウマラ族のマニュエル・ルナと出会い、タラウマラ族の伝統として作られていたタイヤのゴムを切り出して作るサンダル(ワラーチ)を教えてもらうことで生まれたとされています。

 

詳しいルーツは以下のサイトや『BORN TO RUN』をご参照ください。

https://lunasandals-jp.com/pages/about-us

 

種類としては、今回ご紹介するMono Winged Edition、私も以前使っていた薄手のベナード、オソフラコの3種類です。

 

ルナサンダル(Mono Winged Edition)

 

ルナサンダルの外観
ルナサンダルの外観①
側面から
側面から

 

 

見ての通り全くアーチサポートなんてものはありません。

ストラップで足とサンダルを固定するだけのシンプルな構造です。

 

ベナードに比べ厚みのあるソールのため、ベアフットランニング初心者の方には良いと思います。

 

またこのような構造なので、濡れた路面やトレイルなどでもある程度グリップを効かせることが出来ます。

(私は、山の中は虫に噛まれたり足に傷を負うことがイヤなのでルナサンダルで入ったことはありません)

 

あとはランニングの用途だけでなく、これから暑くなる季節は街中でのファッションアイテムとしても重宝します。

 

実際の使用感としては、割と厚みがあるのでべナードより楽です。あとビブラムですからグリップもよく効きます。

そういった意味ではベアフットランニングの導入には良いのではないでしょうか。

 

 

ルナサンダルの何が良いのか?

 

では今日の話の核心の部分ですが、ルナサンダルの何がトレーニングに良いのか?

 

それは、『自己学習を促してくれるツール』ということです。

 

ルナサンダルは足のアーチサポートは一切なく、自分の着地や地形の状態がモロに反映されます。

 

着地のことで言えば、バタンとひどく音が鳴るような強い、ストライドが大きすぎる、股関節や膝などでうまく衝撃吸収を出来ていないランニングフォームであればかなり痛みを感じますので長くは走れません。

 

また、地面のわずかな傾斜に対して、筋肉の反応が弱ければ、足が左右に大きくブレます。

 

これらの情報を受け取ることで、体の使い方をどう工夫したら痛みが軽減するのか?ストレッチや筋トレをすれば変化があるのか?など自分で効率的なフォームを考える上でかなり有益と感じます。

 

そして、細かなブレを制御する筋肉の反応速度や身体の対応が学習されるため、トレイルなどの不整地で生きてくる可能性があります。

 

そういった考える過程を経て、自分の身体の機能をうまく使える効率的なフォームへと変化するのだと思います。

 

私自身の体験で一例を挙げるとすれば、右と左で接地時間に左右差があったことや左は股関節や膝を使って着地の衝撃をうまく吸収できていないということに気づくことができました(現在、絶賛矯正中!)。

 

こういうのって、サポートをしっかりしてくれている現代のランニングシューズでは気づきにくいんですよね。

 

少々フォームが悪くても靴がカバーして走れてしまうので。(そういう意味ではシューズの進化すごい…)

 

しかし、フォームが乱れるということは結局それが積もり積もってある日ケガにつながるなどのリスクをはらんでいると考えます。マラソンはもちろんのこと、ウルトラやトレイルでは小さなフォームの乱れが後半に地獄となりますので、うまく修正しておきたいところです。

 

ですので、定期的にルナサンダルでベアフットランニングをすることで、現在の自分の状態を確認しています。

 

面白いもので、ルナサンダルでフォームを意識すると、シューズを履いた時に楽に走れる感覚があるんです。

効率的なフォームの学習が進んでいるのかもしれません(バイアス大w)。

 

 

ルナサンダルの注意点

 

自己学習を促してくれるツールではありますが、いくつかのことを注意しなければ逆にケガのリスクを高めてしまうとも感じています。その点について、ベアフットランニングについて関するいくつかの文献に加え、自分の体験を交えてご紹介いたします。

 

 

着地の衝撃について調べられた研究ですが、裸足習慣のない20代の男女を対象に、8週間(1週間に1回15分くらい)のベアフットランニングを練習し靴とベアフットを比較した結果、ベアフットランニングの方が着地の衝撃に関する指標が大きかったことが報告されています1)

 

安定性に関する研究については、これまた裸足習慣のない20代の男女を対象に、8週間(1週間に1回15分くらい)のベアフットランニングを練習した結果、靴の人に比べて走っている時の安定性(下腿につけたセンサーで計測したリアプノフ指数から評価)は低下していたとの報告があります2)

 

その他、着地のパターンがフォアフット寄りになることや、ケイデンスの増加、接地時間が短縮することが言われていたり3)内側の足のアーチがシューズを履いた時に比べると着地の際に急激に低下するなどの変化が報告されています4)

 

この辺、めちゃくちゃ心当たりがあります!

 

着地したら衝撃強く感じるし、痛いから自然と足全体で着地するし、スピードを出すには小股でケイデンスを上げるし、地面の傾斜をモロに感じるので少しぐらつくし、時々足底腱膜にピキッとした刺激がくるし…。

見事に全部当てはまりますww

 

これ、そのまま続けてしまうとケガをします。

 

あとは初めての時は鼻緒のところが擦れて痛いし、足裏が擦れて水膨れできたりと、まぁ慣れるまでが大変でした。

 

ですので、先ほど説明しましたように、「どうしたらそのような辛さを軽減できるのか」と考えながら走ることがとても重要です。

 

(今は先ほどの問題点はだいぶ解消されてきました)

 

《初心者向け》まずはこう使いましょう

 

マイナスなところを少し紹介してしまいましたが、逆を言えばこれらの部分をトレーニングできるということにもつながります。

 

例えば、痛くないように体全体でクッションを使うことを学べたり、ミッドフットの着地の感覚を学べたり、細かな足のバランスを鍛えることになったり、内側アーチを過度に潰さないための身体の使い方を学んだりというメリットもあると考えます。

 

そのような特性を持つと考えられるルナサンダルに慣れるまでの使い方を、私見ではございますが、ご紹介いたします。

 

1.まずは歩く

 

まずは、走る前に歩いてみましょう。歩くだけでも結構疲れます。普段のランニングの時間まで歩けるようにすることがまずは第一段階です。

歩くだけと侮るなかれ。最初はかなり疲労感が出ると思います。

 

 

2.ジョグで短めから

 

歩いても特に疲労感や痛みを生じなくなったらジョグを始めましょう。ジョグのペースはシューズで走るペースよりぐっと落として始めることをオススメします。

私自身はシューズに比べて1:00/kmくらいは落として、6:30〜7:00/kmくらいのスロージョグで使用しています。

 

慣れてきたら速く走れますが、身体が適応できていない状態でスピードを上げると一撃でどこか痛めるリスクがぐっと上がりますので、スピードを上げるのは慎重に。

 

 

3.出来ればアスファルトではない場所を選ぶ

 

コース選びについてです。ほとんどの人が普段はアスファルトを走っていると思います。ルナサンダルではクッションが無いので(正確には自分の身体以外にクッションはない)、衝撃は強めです。ですので、土や芝生など地面からの反発が緩めなところで練習することをオススメします。

 

実際『BORN TO RUN』で登場するタラウマラ族は、トレイルや不整地で走っているようです。

慣れるまではアスファルトよりも柔らかい路面を探しましょう。

 

 

4.使用頻度は少なめから

 

早く慣れたいという気持ちで、毎日使いたくなる方もいらっしゃると思いますが、そこはぐっと堪えましょう。

まずは、低頻度から初めて、徐々に使用頻度を増やすことをオススメします。

 

先ほどご紹介したように、ベアフットの場合、シューズに比べて足の不安定性は一時的には上がります。そのため、足首周りの細かい筋肉への過負荷となり、蓄積疲労がトラブルに繋がりかねません。(実際私自身はそうでした)

 

ですので使用頻度について、例えば、週1回ランニングされる方であれば1週ごとに靴とルナサンダルを交互に使う、平日2回のランニングと週末走るような方であれば週1回から始めてみるといった感じです。

 

 

5.身体の状態と相談して無理しない

 

「せっかく買ったんだし義務としてルナサンダルを履かなければ!」となってしまう人もいるかもしれませんが、自分の身体の状態をしっかり加味した上で使用するか考えましょう。

 

普段使用した後の次の日の疲労度合いを把握しておくことで、蓄積されるであろう疲労を考慮して使用するかどうか考えることができます。

 

今は大丈夫だけど使うと翌日はヤバそう、皮膚トラブルが生じているなど、効率的な使用にならないようであればシューズで走りましょう。焦らず長期的な視点で適応していくことが望ましいと考えます。

 

 

まとめ

 

今日はルナサンダルについて自分の体験をベースではありますが、ご紹介いたしました。

 

大切なポイントとしては、

 

・ルナサンダルは自己学習を促してくれるツール

 

・靴からルナサンダルに移行して間が無い時は、着地の衝撃など足への負担が大きい

 

・自分の身体の状態を考え、路面や走る速度、使用の可否について考える

 

 

うまく使えば、かなり良い道具であると感じています。

 

ケガなく楽しくランニングライフを楽しむために活用していきましょう(^^)

 

ちなみに各店舗で売り切れになることが非常に多い商品です!見つけたら即買いを検討しましょう笑

 

 

出典

1)HOLLANDER, Karsten, et al. Adaptation of running biomechanics to repeated barefoot running: a randomized controlled study. The American journal of sports medicine, 2019, 47.8: 1975-1983.

2)HOLLANDER, Karsten; HAMACHER, Daniel; ZECH, Astrid. Running barefoot leads to lower running stability compared to shod running-results from a randomized controlled study. Scientific Reports, 2021, 11.1: 1-9.

3)EKIZOS, Antonis; SANTUZ, Alessandro; ARAMPATZIS, Adamantios. Transition from shod to barefoot alters dynamic stability during running. Gait & posture, 2017, 56: 31-36.

4)KELLY, Luke A., et al. Shoes alter the spring-like function of the human foot during running. Journal of The Royal Society Interface, 2016, 13.119: 20160174.